「Mask the Border | 境を覆う」
《Ephemeral Life | 儚き命》柿崎順一 2022年
Photography by Joji Okamoto
© JUNICHI KAKIZAKI HANA OFFICE+PEALab. Courtesy of naonakamura
柿崎 順一は花や木といった植物を美術素材に選び、領域としての自然や大地を支持体とした新たな環境を構築します。アースワークを用いたインスタレーションは、ランドアートや環境アートに位置する美術様式の一環であり、作家は自然物に自己表現を加味することで生命の際立つ美しさ、強さと儚さを提示します。
ビャッコイが自生する不動清水での制作は、高木の杉林に囲まれた窪地から湧き出る清流に育まれる植物相、ビャッコイが自生する泉そのものがインスタレーションの舞台となりました。深い森の中を印象づける空間に白のフィルム素材を用いることで、この自然界に曖昧なBorder|境を形づくりました。白色の象形物は流水の進路をなぞるLine|線であり、ビャッコイが生息する水面を覆うMask|面ともなります。 創造的に配置された美の形は場の特異点としてのPoint|点でありながら、広く周囲のSpace|空間に影響を与えていきます。
本プロジェクトにおけるインスタレーションは、白河市表郷金山に位置するビャッコイ自生地にて展開されました。「ビャッコイ」とは、カヤツリグサ科ビャッコイ属に分類される多年草の水生植物であり、明治38年に植物学者 牧野 富太郎(1862–1957)により「白虎隊」の名に因んだ命名がなされました。また、ビャッコイが氷河期時代の名残を留める希少種であり、この場所が国内唯一のビャッコイの自生地であることから「金山のビャッコイ自生地」として福島県指定の天然記念物に登録され、今日まで保護され続けています。
自然保護区である同地の植生と環境保護を最優先に、現場設置はわずか1日のみ、非公開でのインスタレーションを完成させました。白河文化交流館コミネスでは、その記録的価値観を内包しつつも、視覚芸術として重点を置いた写真およびビデオの形態にて発表します。
© JUNICHI KAKIZAKI HANA OFFICE+PEALab. Photography by Joji Okamoto
柿崎順一 プロフィール
ランドアート、環境アーティスト
1971年 長野県生まれ。基礎造形と園芸学を学び、花・葉・実・樹枝など植物や、キノコ・地衣類など菌類、石・土などの自然素材を主材または主題に、ランドアート・エンバイロンメンタルアートやフラワーアートなどを制作、写真・ビデオなどを媒体に国内外で発表している。
近年の主な展覧会
2008
「CRADLE - For The Land Art」オランダ ドゥーティンヘム・デ ブリーク スクエア
2011
「PETITS MONSTRES DES FLEURS DE PARIS」フランス パリ ギャラリー・レ ヴァンシス シェーズ
2014
「Ikebana and Contemporary Plant Art」スウェーデン ウプサラ植物園・リネアニウム - オランジェリー
2017
「TREE」札幌芸術の森美術館
「AFTERLIGHT」スウェーデン アルムンゲ・ハグランドスコラ(−2022)
2019
「METAPHOR | 比喩的な自然」長野 国営アルプスあづみの公園・多目的ホール
2020
「PETITS MONSTRES DES FLEURS DE PARIS Ⅱ」フランス パリ ギャラリー・レ ヴァンシス シェーズ
2022
「Ψの庭 ・ Φの夢」東京 東向島 北條工務店となり
キュレーター 鈴木一史
撮影 岡本譲治
写真製版 熊倉桂三
ビデオ編集 細野夏未
録音 / ロケーションコーディネーター 鈴木 純
制作助手 チャン・アイン
© JUNICHI KAKIZAKI HANA OFFICE+PEALab. Courtesy of naonakamura