早くも年の瀬のあわただしさに追われる時期となりました。
おかげさまで、秋以降もコミネスではしっかりとした感染対策の中、さまざまな事業を開催しています。どの公演も「やっぱり生の演奏は最高!」「劇場空間に来られて幸せ」というお声を頂き、安心できる日常の中でコミネスの事業を行えることに、改めて感謝の思いです。
コロナ禍が長引く中で、あらためて言われ始めたのが、「他人と共感する幸福度」の重要さです。旅行しかり、飲食店での会食もしかりです。みなと集まって、話題や感情を共有することが、心の健康や柔軟性のためには、とても必要であり有効であることが分かってきたのです。
劇場の観客席に座ると、自分の席の四方に、同じ目的で集まった人たちがぐるりと囲んでいることを実感します。同じ時間に同じ場所で、同じものを体験する、即席の「仲間たち」がそこにいます。
その人数は場合によっては何百人にもなります。
演奏の間は皆じっと静かに耳を傾けていますが、終わったとたん全員が力いっぱい拍手を送ることで、その演奏に感動したということを演奏者に伝えたい!という想いがあふれます。
それは同時に、たまたま隣の席に座った見知らぬ人も、自分と同じように感動したのだ、ということを知ることにもなります。未知の人と、瞬時に無言の絆がつながります。
そしてそれは、隣の席の人だけに限らず、後ろも前も、何列も離れた人も、そして劇場の隅々の人とも、同じ想いで繋がるのです。
演劇公演の場合は、もっと頻繁に、そしてさまざまなヴァリエーションで、この現象が起こります。
「今、あそこの人がクスッと笑った。なにが面白かったんだろう。」「今度は自分と何人かが笑ったぞ」「あ、なんだかすすり泣きが聞こえる。はまったんだろうな・・」などなど、・・・。
同じ舞台を観ながら、いろいろな「他人」を知りながら観劇します。
それは共感もあれば発見もあります。
「他人の存在を感じる」・・・。
このことがポジティブな意味でなんと遠ざかってしまった2年であろうかとつくづく考えてしまいます。他人の心や気持ちを考えたり、想像したりすることが、思いやりや寄り添いの心を育むのはもちろんです。さらには、自分自身の考えを整理する機会になったり、思わぬ自分を発見することになったりもします。また、共感を確認できると、たとえ小さなことであっても、自信や自己肯定感にもつながります。そして、ささやかな「幸福感」になるのです。
ぜひ、劇場に足を運んで、共感や心の交流を感じていただきたいと思います。