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館長の談話室

談話室(1)

コミネスのH Pがリニューアルされて「館長の談話室」というページができました。
その時々の思いついたお話をさせていただこうと思っています。
どうぞお気軽にお読みいただければ幸いです。

さて、7月に入り、例年であれば夏休みを目前に、旅行やお祭りや花火大会などの計画に心躍る時期ですが、今年ばかりは新型コロナの感染数にハラハラする日々が続いています。コミネスもこの3ヶ月、公演中止・延期のお知らせを次々と皆様にしなければならない辛い経験をしました。

緊急事態宣言発動中に、演奏会にも、演劇公演にも、ライブにも、映画館にも、展覧会にも行けない生活を送りながら、この状況の中で自分自身はどう感じるかを観察してみました。「演出家」という職業上、そんな生活はおそらく40年以上したことがありません。

一週間、二週間・・・意外と乗り切れそうです。ネットやT Vを流し見する癖がつきました。本もたくさん読めます。
三週間・・・映像配信やC D、D V Dをあれこれ見たり聴いたりしました。
四週間、五週間・・・物足りない思いが押し寄せます。配信映像を見ていても、なんとも言えないもどかしさがあります・・。

だんだんに、そして当たり前のことに気がつき始めました。
表現や芸術は「情報」ではないのです。

確かに多くの人が同じ「情報」を受け取れるという意味ではネット配信は有効ですが、「情報」ではないので、表現や芸術には、効率的に「要約」できないたくさんのものが含まれています。(実はそれを総称して「空気感」と言ったりします)一人一人の観客が、その発信されたたくさんのものに様々に反応できるからこそ豊かなのです。人と人との間には、アーティスト・演者と観客の間には、かけがえのないものが交流されているのが「ライブ」「公演」なのです。

やはり、万全・細心の注意・対応を重ねた上で、とにかく「生」の演奏・舞台をお届けすることに、コミネスは進んでいかなければ!という思いを新たにします。
当たり前に舞台芸術を楽しめる日が来ることを祈るばかりです。